英国の信仰の中心として、王や偉人の歴史を語る上でウエストミンスター寺院は忘れてはならない存在です。この教会は王室直属の教会でカンタベリー司教区の管理外にあります。

ウイリアム征服王からエリザベス2世まで900年間、ほとんどすべての王の戴冠式がこの寺院で行われました。結婚式やお葬式など王室行事にも使われ、現在の女王様はここで結婚式を挙げました。ここで行われた1997年のダイアナ妃のお葬式をテレビでご覧になった方も多いことでしょう。

また教会の中には3000の墓と400の記念碑があり、18世紀半ばまでの王族、貴族が葬られています。有名な科学者のニュートンやダーウィン、音楽家のヘンデル、小説家のディキンズの墓などがあり、有名な政治家などもたくさん埋葬されたり、記念碑があったりします。この教会は現在も毎日の礼拝に加え、王族の冠婚葬祭、偉大な政治家や名詞の追悼式に使われます。

この教会の歴史は7世紀にさかのぼります。その頃このあたりは川に囲まれた茨の島と言われており、伝説によるとここに東サクソン王のシーベルトが聖ペテロを祭る教会を立てたのがウエストミンスター寺院の始まりであると言われています。この教会の正式名は今でも「ウエストミンスターにある聖ペテロ教会」です。その後ベネディクト派の修道院になり、11世紀には隣に宮殿を立てたエドワード懺悔王が聖ペテロ教会を自分の埋葬の場所として再建、ロマネスク調の当時としては最高に壮麗な教会ができました。1066年にエドワードは亡くなり、予定通り寺院に葬られ、同じ年ウイリアム征服王の戴冠式が行われました。以来王家の冠婚葬祭の場となり、エドワードが死んで100年、聖人の仲間入りをする頃には巡礼の絶えざる聖地となりました。その後13世紀にヘンリー3世がフランス風に改築しますが、お金がなくなり、身廊が完成するまでに120年間かかります。16世紀に東側、18世紀に西の塔ができ、現在の姿になるまで、延々500年間の増築、放置、改築が繰り返されています。