陶磁器の町として有名なストーク・オン・トレントには、ウエッジウッド、ロイヤル・ドルトン、ミントンといった有名陶磁器ブランドの工場が集中しています。

スタッフォ-ドシャー県は元来、陶器作りに最も重要とされる水と良質の土に恵まれていました。産業革命により量産化が進むと、燃料として必要になる石炭までもがすぐ近くで調達できるという、絶好の条件がが揃っていました。

18世紀半ばにジョシュア・ウエッジウッドらがこの地に目をつけ、次々と陶磁器の名門ブランドが専用の窯を築き始めました。時を同じくして、ジョシュア・スポードによって従来の粘土に牛などの動物の骨灰を混ぜて陶器を作るボーン・チャイナ製法が見出され、強度が優れているだけでなく、独特の透明感が人気をよび、世界的な流行となりました。

 

ウエッジウッドについて

英国陶磁器の父として広く知られるジョシュア・ウエッジウッドが、初めて自分の工場を建てたのは、1759年のことでした。実験に実験を重ね、当時イギリスで採れる土ではどうしても作れなかった白い陶器の発明に成功しています。彼は芸術家、科学者、実業家としても才能を発揮し、低いコストで大量生産する技術を編み出し、英国で流行しはじめたお茶を飲む習慣をポピュラーなものにしたり、高温を正確に測る温度計の発明など彼の業績は計り知れません。工場内にビジターセンターを設けて伝統的な製作工程のデモンストレーションをしており、歴史を見せる博物館などの施設が整っています。

 

ロイヤル・ドルトンについて

ロイヤル・ドルトンはミントン、ロイヤル・アルバート、クラウン・ダービー、ロイヤル・ドルトンの4つの有名なブランドから成り立っています。イングランドで生産されるボーンチャイナの40%、そして英国で生産される陶製人形の50%はロイヤル・ドルトンで製作されています。7500人の従業員が11の工場で働いており、英国一の規模を誇っています。4つのブランドの中で最も古いのはロイヤル・クラウン・ダービーで1748年に創業され、デザインの面では18世紀の日本の伊万里の影響をかなり受けています。ロイヤル・アルバートは4つのブランドの中では一番新しく1896年創業ですが、「オールド・カントリー・ローズ」は1962年から今までに9000万客も売れたという世界で一番売れているデザインだそうです。ロイヤル・ドルトンで売られているもので一番高い人形は300万円。ハンドペイントに160時間かかるそうです。

  

スポードについて

スポードが創立されたのは1770年。今でこそボーンチャイナは英国のすべての陶器メーカーで作られていますが、当時のイギリスでは真っ白に輝く陶器を作るには長年の夢でした。工場という工場で実験が繰り返される中、スポードがいち早く粘土に骨灰を混ぜ合わせる方法を発明したのでした。1806年に工場を訪れたプリンス・リージェント(後のジョージ4世)によってスポードは王室御用達の名誉を賜ることになります。博物館では1867年にパリ万博に出品された作品を始め、珍しい陶器を見ることができます。芸術家によって絵付されたり、ふんだんに金で装飾してあったりと、スポード王侯貴族に愛されてきた歴史がよく分かります。