エリザベス1世が少女時代を過ごし、1558年11月17日、女王即位の知らせを受けた場所です。当時、ヨーロッパはカトリック対プロテスタントという宗教上の対立抗争が激しく繰り広げられており、プロテスタントとして育ったエリザベスは、姉のカトリック女王メアリー一世によって、ここに軟禁されていました。エリザベスは女王になってからしばらくの間、ここのオールドパレスに宮廷(議会であり、内政外交に関する最高決定行政機関)を置きました。

ハットフィールド・ハウスは1611年(エリザベス1世がなくなってから8年後)、エリザベスの重鎮ウイリアム・セシルの息子、ロバート・セシルが建てた大邸宅です。ロバートはジェームス1世にも使え、ソールズべり伯爵にも任じられています。第3代ソールズベリ候はヴィクトリア女王時代に3度も首相になった政治家です。現在は第6代ソールズベリ卿夫婦が住んでいます。

ガーデンはロバート・セシルがお抱え庭師ジョン・トラディスカントをヨーロッパに送り研究させて作ったという庭園で、当時イングランドにはまだなかった植物の苗や球根、木々などを持ち帰り、果樹園、噴水、花壇、テラス、ハーブ庭園、迷路などを作り上げました。

ハーブ・ガーデンは香りの園と呼ばれるとおり、ハーブとバラの醸し出す芳しい香りがいっぱいです。白い敷石で縁取りされたカモミールの小道。庭と庭との間は芝生とライムウォークで区切られています。ライムウォークとは、菩提樹がびっしりと植え込まれた小道のことで、貴婦人たちが散歩の折に日焼けをしないように歩いたという優雅な木陰のことです。ノット・ガーデンにはトラディスカントが持ち帰った花が植えられています。といっても、チューリップなど今ではなじみの深い花も多いのですが・・・。