バッキンガム宮殿は、エリザベス女王のご住居であり、数多くの公式訪問を受けられる、英国で最も重要な公式宮殿です。

バッキンガムの歴史は今から約250年前に、ジョージ3世がバッキンガム公爵から館を買い取ったことから始まります。今でこそロンドンの街の中心に位置するバッキンガム宮殿ですが、当時はロンドン郊外の田園風景の中に建つ屋敷でした。バッキンガム・ハウスと呼ばれるレンガの館で、ジョージ3世とシャーロット妃は8歳のモーツアルトの演奏を聞いています。

19世紀になるとジョージ4世はここを宮中会議や政務を行うことができる壮麗な邸宅にすることを考え、建築家のジョン・ナッシュに改築を依頼しました。夏の一般公開で、みなさんにご覧いただく公式広間のほとんどがこのナッシュの設計によるものです。ナッシュは独特の天井デザインを次々に生み出しました。

ヴィクトリア女王とアルバート殿下との間に9人の子供が生まれると、国家政務と家庭生活の両方の機能を果たすには宮殿は手狭になり、エドワード・ブロアによって東側、ジェームス・ぺネソーンによって西側に舞踏室や夜会室が増築されました。メンデルスゾーンはヴィクトリア女王が最も好んだ作曲家で、彼は舞踏室で3度演奏しています。

現在、エリザベス女王とエジンバラ公は宮殿の北側にあるプライベート・アパートメントにお住まいです。バッキンガム宮殿には迎賓館として使われる公式の間が19、王族の寝室が52、スタッフの寝室が188、事務室92、トイレ78あり、350人が勤務しています。

30エーカーある庭は、19世紀初期に造園された風景式庭園で、自然にそった植林を行ない、人工池を作りました。ガーデン・パーティーが年4回行なわれ、毎年8000人が招待されます。