リンドー・マン

約2000年前のミイラですが、エジプト・ミイラとはまったく逆の気象条件下での死体保存例です。発見された地名からリンドー・マンと呼ばれています。この遺体は1984年に雨の多い英国北西地方のチェッシャーにあるピート畑から見つかったものです。この地方の泥炭や沼の水には、一種の漬け汁作用により死体を保存するのに適した酸が含まれています。

あまり保存状態が良いので、この遺体を見つけた人は自分がピートの切断機で殺してしまったと思ったほどでした。徹底的に法医学専門化によって調査され、2000年前にドルイト教の儀式のための犠牲者だったということがわかりました。最初に頭への一撃で気絶させられ、次に紐で首をしめられ、最後に喉を切られています。

身長165cm、体重60kg、25歳くらいだということもわかりました。爪が丸くカットされており、肉体労働者ではない高い位の人だったのではないかと思われます。腸の保存状態も良く、科学者たちは食事の内容物の分析を行ないました。最後の食事は種や草から作られた粥で、夏や秋の果物の痕跡がなかったので、多分早春に殺されたのではないかと思われます。

デンマーク、ドイツ、オランダ、スウェーデン、ノルウェーなど、ヨーロッパ北西地方の沼地でこのような死体は発見されていますが、英国本土はこのリンドー・マンが初めてです。

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