アマラーヴァティーのインド仏教

アマラーヴァティーはサータヴァーハナ朝(紀元前1世紀から後3世紀)の後期に栄えた都市でした。東海岸の港に近いアマラヴァティーはローマとの貿易で繁栄、インドから香辛料、綿織物、象牙、宝石などが輸出され、ローマの金貨が大量にインドに流れ込んできました。大商人たちはより良い死後の世界を願って功徳を積むために、ストゥーパを建てました。各地を旅した商人によってストゥーパ崇拝も広まりました。 アマラーヴァティーのストゥーパは基壇部の直径が52mもあり、高さも40mを超えるものだったと推測され、当時のインドのストゥーパの中でも最大規模のものでした。三蔵法師で有名な玄 も7世紀にアマラーヴァティーを訪れています。

 

初期の仏教美術はブッダを象徴で表しました。

仏足跡=ブッダ自身    法輪=布教     菩提樹=悟り     ストゥーパ=涅槃

アマラーヴァティー後期には、わずかですが、仏像も彫られています。

規則的に平行に引かれた衣のひだと卵方の顔が特徴で、この様式は後にスリランカに伝わりました。

 

 

 

ガンダーラ美術(2ー3世紀)

アレクサンダー大王が征服した地域には、東西交流によって新たな文化が生まれました。西方の商人たちの中にはインドに帰化し、仏教徒になった人もいます。パキスタン北東部のガンダーラの彫工はギリシア・ローマのように神々を人間の姿で表すことに慣れていたので、ブッダを西方の擬人像に倣ってギリシア風の要望で表現した像が製作されるようになりました。  特徴は、彫りが深く鼻筋が通っている。アーリア系の顔。流れるような衣。頭髪は波状。

 

サールナートの仏像(5ー6世紀)

 インド北部のサールナート(鹿野苑)はブッダの最初の説法の地です。5世紀ごろグプタ王朝の時は仏教の中心地でした。 特徴は穏やかな表情。深く瞑想するように伏した目。下唇が厚い。長く垂れた耳たぶ。衣にひだを表わさない。巻貝が並んでいるような髪 インド各地で独自の特徴を生かした仏像が広まりました。仏像にはブッダが生まれながらにして備えていたとされる身体状の特徴が32あります。(額の白い毛、髪の根本を紐で結び束ねた髪型など)  7世紀以降、インドではヒンドゥー教やイスラム教などの圧迫で仏教は衰えます。 現在インドではブッダはヒンドゥーのヴィシュヌ神の化身のひとつであり、仏教はヒンドゥー教の一派と見なされています。

 

 ヒンドゥーの神々

 インドという国名が「ヒンドゥーの国」を意味することでもわかるように、ヒンドゥーは宗教というより、インドそのものです。現在インドの全人口の82%を占めるヒンドゥーは、紀元前1500年ごろにインドに侵入してきたアーリア人のバラモン教と土着の信仰が結びついて発展しました。開祖がいて、教義がある宗教ではなく、土着の神々を取り込んでいく過程で、つじつまを合わせるために、神々の結婚や化身がとり入れられ、いつのまにか八百万の神の教義が存在することになってしまいました。他宗教の神も取り込んでしまうヒンドゥーは実に寛容な宗教で、それぞれの神様を通して人は宇宙の聖なるものとつながるという考え方を持っています。

 

ヴィシュヌ神

世界の維持、繁栄をつかさどる神。温和で受動的な性質。熱心に信仰を捧げるものに対しては必ず恩寵をもたらす。
4本の手にはほら貝、円盤、棍棒、刀を持つ。弓や蓮を手にすることもある。聖鳥ガルーダに乗って飛翔する。

世界の救済のために10の化身になる。
①魚(大洪水から救う)
②亀(不死の霊薬をもたらし神々を救う)
③猪(その牙で沈んだ大地を持ち上げる)
④人獅子(恐るべき魔神を退治する)
⑤倭人(体を巨大化させ魔王を打倒する)
⑥斧を持つラーマ(武士階級を一掃する)
⑦ブッダ(誤った思想を説き魔人を地獄へ導く)
⑧カルキ(世界に正義をもたらす英雄)
⑨ラーマ(インドの国民的英雄)
⑩クリシュナ(怪力で武勇に優れ美貌の持ち主)

 

シヴァ神

再創造のための破壊神。過激で能動的、恐ろしさと粗暴さ。人間の姿をとる時は4本の手を持ち、斧、太鼓、雌鹿、紐を持つ。彼の武器は三叉の鉾。
高く結い上げられた髪は左右に長く垂れ両肩にかかる。頭には三日月が飾られ、首や胴の回りに蛇を巻きつけている。
額の中心には第三の目がついている。乗り物は白い雄牛(ナンディー)。

宇宙の創造と破壊を表す舞踏を踊るとされ、南インドでは多くのブロンズ像が作られている。火炎輪を背に、毒蛇を首に巻き、魔物(アスラ)を踏みしめて、軽やかなステップを踏む。さらに生殖の原理としても崇拝され、円筒形の男根(リンガ)の形で表される。

 

ガネ-シャ神

 シヴァ神とパールヴァティー妃との間の子で、三日月や蛇というシヴァ譲りの持物をもつこともある。小さなねずみが乗り物。 誰も中に入れるなという母パールヴァティーのいいつけを固く守って部屋の外で番をしていたガネ-シャは、シヴァ神をも拒んだのでその怒りにふれ首をはねられてしまった。しかし後に哀れんだシヴァ神は、最初にやってきた動物の頭をつけて息子を生き返らせることにし、たまたまそこにやってきたのが片方の牙が折れた象であったため象の頭を持つようになったという。巨体でありながら温和な性格、多くの荷をいとわず運ぶ象のイメージが人々に親しまれている。さまざまな障害を除き、成功と幸運をもたらす神とみなされ、旅行や起業、家の普請などあらゆる事を始める前にガネ-シャに祈りがささげられる。大きなおなかは、富と繁栄を象徴としてとくに商人階級に崇められている。学問と知恵の神としても知られている。現世利益をもたらす最もポピュラーな神。

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