英国に関する面白い話いろいろ

 

切手の話

英国の切手には国名が付いていません。英国が切手発祥の地だからだそうです。切手に国名が付いていないのは、英国だけとも言えます。切手の歴史は1840年の郵便制度大改革から始まりました。それまで距離と手紙の枚数によって料金が計算されていましたが、重さ半オンスまで全国どこでも1ペニーで届ける、料金はすべて前払いとして、差出人が切手を購入して貼ることが決まり、世界最初の切手ブラック・ペニーが発行されました。

 

郵便ポストはなぜ赤い?

最初のポストは緑色でした。しかし見づらいなどと苦情が相次ぎ、1874年に真っ赤に統一することが決まりました。今では、赤くないポストなんて考えられませんね。ポストに書いてある文字は、ポストを設置した時代の王の名で、一番たくさんあるのがEUR、現在のエリザベス2世女王のものです。GVIR(ジョージ6世)、GVR(ジョージ5世)、EVIIR(エドワード7世)などがあり、一番古いのはVR(ヴィクトリア女王)のもの。100年以上たっているはずです。 

 

ジャガイモの話

英国の食生活でジャガイモは欠かせません。ですから、なんだか大昔からジャガイモを食べてきたような気がしますが、英国におけるジャガイモの歴史は案外新しいのです。ジャガイモの原産地は南米アンデス山脈。アンデスのような高地ではトウモロコシもできないので、何千年も前からジャガイモが栽培されてきました。16世紀インカ帝国を滅ぼしたスペイン人たちが本国に持ち帰ったのが、ヨーロッパにおける最初のジャガイモだと言われています。英国ではエリザベス1世の家臣で、探検家・軍人だったウォルター・ローリーが1586年南アイルランド、コークの近くにあった彼の土地に植えたのが、英国にジャガイモが紹介されたはじめだと言われています。アイルランドの貧しい土壌でもジャガイモを植えれば、家族と家畜を養う収穫が上げられました。農地が戦場となっても、他の穀物と違って地下になるジャガイモは無事です。貯蔵もききます。というわけで、ジャガイモはアイルランド人の主食として定着してしまいました。国民一人当たりのジャガイモ年間消費量は1位アイルランド(130kg)、2位イギリス(102kg)、3位ポルトガル(94kg)、4位ベルギー(90kg)、5位オランダ(85kg)です。ちなみに日本人一人当たりのジャガイモ年間消費量は16.7kgでした。

 

高級サンドウィッチの話

高級ホテルなどで上品にアフタヌーン・ティーをしていますと、必ず出てくるのがキューリのサンドウィッチです。ただパンにバターを塗り、薄切りのキューリをはさんだだけのものが、仰々しく出てきます。高級ハムでもサーモンでもいいのに、なぜ水っぽい、味のないキューリが定番なのでしょうか?英国人の味覚に関しては理解できないところがまだ多くあります。

 

フォークの話

英国でフォークが使われ始めたのは17世紀の名誉革命以降だと言われています。スープにスプーン、肉を切るのにナイフを使っていましたが、食物を口に運ぶのは指でした。当時は王様も女王様も手で食事をしていたのですね。18世紀になっても宿屋にナイフ・フォーク・スプーンが揃ってないことが多く、旅行者は自分のナイフやフォークを持ち歩くのが普通だったとか。

 

世界最古のゴルフコースは?

スコットランド王ジェームス6世は、イングランドのエリザベス1世の後にイングランド王位を継承し、イングランド王ジェームス1世となりました。スコットランドではどこでもゴルフができたのに、ロンドンは昔から大都会だったので、グリニッジ宮殿に移り住んだジェームス1世は近くのブラック・ヒースをゴルフ専用の土地と決めなければなりませんでした。1608年のことです。これがイングランド最古のゴルフコースになりました。

 

英国は雨が多い?

実は降水量は日本より少ないんですよ。しかしl一日のうちに四季があるといわれるほど、天気が変わりやすいので、傘は必需品です。天気予報で「晴れ、曇り、雨」と全部言うこともあります。

 

日照時間の話

夏に英国に来た人は、夜10時ごろまで明るいことに驚き、冬に英国に来た人は、午後3時ごろ日が暮れるのに驚きます。英国は北緯50度と60度の間にあります。日本は北緯26度から46度ですから、北海道の最北端よりも北に位置していると思ってください。気候は温暖ですが、日照時間が夏と冬と全然違います。特に夏時間から冬時間に変わる10月末ごろは急に日没が早くなるため、ノイローゼになる人が増えるとか。

 

ロンドンにレンガの家が多いわけ

ロンドンは川の側の泥地で、石が取れません。泥を焼けば、レンガになります。ロンドンの一般の建物は、そのレンガを積んでできています。セントジェームス宮殿やハンプトンコート宮殿など、500年前にできたレンガの建物もあります。ロンドン塔、国会議事堂、バッキンガム宮殿など、石の建物もありますが、その石は船などで他の地域から運んできていますので、手間とお金がかかっています。1666年の大火の時に木の家は燃えやすいことが分かったので、ロンドンでは木の家を建てることができません。法律で禁じられています。ロンドンには木の家が3軒ほどありますが、これはすべて大火の前に建てられた家で、350年以上前の古い建物になります。

 

わかりにくい英国の教育制度

英国の教育制度ほど分かりにくいものはありません。日本みたいに6・3・3制などというものが無いからです。例えば私が住んでいる地域の公立の学校は、4歳でレセプション、5歳から6歳までインファント、8歳から11歳までがジュニア、12歳から16歳までがセコンドリー、17歳から18歳がシックスフォームというシステムですが、私立は7歳から12歳がプレップ・スクール、13歳から18歳までがパブリック・スクールと全然違うシステムをとっています。大学進学希望者は、公立も私立も16歳の時のGCSE、17歳のASレベル、18歳のAレベルという全国統一試験(日本のセンター試験のようなもの)を受け、その結果を見ますので、どの学校に通ったかはあまり問題にはなりません。イングランドの大学は3年間(スコットランドは4年間)になります。

 

コンビニとスーパーについて

英国ではコンビ二をあまり見かけません。なぜならスーパーマーケットが郊外で24時間営業、ロンドン市内でも夜12時ごろまで開いているからです。ロンドン中心部にも大手スーパーの支店がどんどん増えていますので、是非行ってみてください。英国で代表的なスーパーマーケットはテスコ、セインズベリー、アスダ、モリソン(セーフウェー)、サマーフィールド、ウェイトローズ、そしてマークス・アンド・スペンサーになります。旅行者もミネラルウォーターなどを買うのに利用することがあると思います。スーパーでサンドウィッチやサラダを買って、食費を節約することもできますね。

 

国内でお金が違う?

イングランドの中では女王様の顔が乗っている英国銀行発行のお金を使っていますが、スコットランドで流通しているお金はロイヤル・バンク・オブ・スコットランドやバンク・オブ・スコットランドなどが独自で発行している紙幣です。そう、同じ国、同じ島の中でお金が違うのです。スコットランドのお金はスコットランドの中ではもちろんイングランドでも使えますが、外国では両替してくれないお金になりますので、気をつけてください。

 

両替はどこが得か

私自身 がよく旅行をするので、どこで両替するのが得かをいつも研究しています。日本から英国へ来る人は、成田空港で両替した方が得だそうです。英国ではマークス&スペンサーという店の中の両替所が、手数料もかからないし、一番得だといわれています。

 

英国で米語は通じない?

イギリス人がアメリカへ行ってビックリするのが、「チップス」が「フレンチフライ」と呼ばれ、「クリスプス」が「チップス」と呼ばれていること。アメリカでイギリス英語が通じないのは、かなりショックらしいです。アメリカ人が英国に来て、話が通じていないのを見ることもあります。それじゃ、問題です。地下鉄は英語でなんと言いますか?正解は「アンダーグランド」です。「サブウェー」は「地下鉄」ではなく、交通量が多い道路の反対側に渡るための地下道のことです。飴のことは英語でなんて言いますか?正解は「スウィーティー」です。「キャンディ−」は米語です。セーターのことはなんて言いますか?英語では「ジャンパー」といいます。「スウェーター」は米語です。

 

英国人なのに英語を話してない人がいる?

ウエールズにはケルト語から派生した独自の言語ウエールズ語が残っています。19世紀中ごろからウエールズ語復活運動が起こり、学校でウエールズ語の授業があり、ウエールズ語のテレビやラジオ放送もあります。道路標識や駅名もウエールズ語で書かれていることがあります。

 

英国の食事について

英国料理というのはローストビーフとかローストポークとかローストターキーなどの肉か、ドーバーソールのような魚に、ジャガイモと温野菜を添えて食べるというパターンだと思います。フランス料理の繊細さはありませんが、普通の家庭やレストランでちゃんと食べればそれほどまずいとは思いません。

よくフィッシュ・アンド・チップスを食べたいと言う人がいますが、街の中心部ではあまり見かけませんね。最近は魚(主に鱈)が高くて、商売が難しいらしいです。うちの近所には、ピザ、チキン、ケバブ、中華、インディアンなどの各種ファースト・フード屋が揃っていますが、フィッシュ・アンド・チップスだけはないです。

 

イギリスは紅茶の国?

ロンドンの街を歩いているとスターバックスやネロやコスタなどのコーヒーショップの看板が目に付きます。紅茶が飲める店を見つけるのは結構大変です。もちろん高級ホテルなどでアフタヌーンティーというのをやっていますが、本格的なアフタヌーンティーには電話予約、おしゃれな服装、そして一人5000円くらいの予算が必要になります。それでも英国で紅茶を飲みたいと思っている方は、デパートにあるティールームはいかがでしょう。予約もいらないし、服装もうるさくないし、高級から庶民的なところまで選べます。

さて、英国の最高級紅茶ですが、王室御用達(つまり女王様が飲んでいる)紅茶はトワイニングになります。日本でも簡単に入手できる紅茶なので高級感が無いのですが、300年の歴史(1707創業)があり、会社が大きく営業熱心な経営者がいるので、簡単に手に入る紅茶になったのでしょう。これからトワイニングを見たら女王様と同じお茶と思って飲んでくださいね。

ちなみに英国で一番売れている紅茶はPG Tipsだそうです。スーパーなどで入手できる、ミルクティー用の濃い紅茶です。

お茶の歴史は日本や中国のほうが古く、英国にお茶が入ってきたのは、17世紀にポルトガルから英国王家に嫁いだキャサリン・オブ・ブラガンザの嫁入り道具に入っていたのが始まりだとか。植民地のインドやセイロンで中国産のお茶を栽培させ、大量生産を可能にしたのが英国人です。他のヨーロッパの国よりも紅茶消費量は多いようですが、今はコーヒーに抜かされているとか。

 

イギリスのビールはぬるい?

英国のお酒はビールです。それもビタービール。適温は14−15度(秋冬の室温くらい)だそうです。ですから、イギリスビールは、日本で人気のラガービールのように冷えていません。そのぬるいビールをちびちび時間をかけて飲むのです。冷たいのをグーと飲むという感覚は英国人にはありません。また日本と違って、パブではビールの泡を全部捨ててしまいます。ビターもラガーも泡がありません。体験してみてください。

 

イングランドには森がない?

日本は国土の70%が森林なんだそうです。英国も森が多そうなイメージがあるみたいで、コッツウォルズで森を見たいとなどというお客様がいたりしますが、コッツウォルズに森林はありません。英国の土地のほとんどが農地(77%)で、森林は国土の10%しかないのが実情なのです。

 

イングランドには山がない?

イングランドには高い山がありません。イングランド最高峰は湖水地方のスカフェルパイク(1070m)ブリテン島最高峰はスコットランドのベンネビス(1343m)です。ロンドン周辺の南イングランドには山がありません。だから、日本と違って国土のほとんどを牧草地にできるわけですね。

 

イングランドに果樹園がない?

ケントというイングランド南東部にりんご園などを見ることがありますが、英国の農地はほとんどが牧草地、あとは小麦畑か菜の花畑ですので、あまり果樹園は見かけません。ファーム・ステイといって、農場に泊まって旅することもできますが、英国の農家はほとんどが放牧農家だと思ってください。

 

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