2006年の英国年間行事 

 

2月18日    国際ガイドデー

英国観光庁公認ガイドであるブルーバッジを知ってもらおうと、この日は各地でイベントが行われます。ロンドンでは日本語公認観光ガイド協会主催で、大英博物館などの無料日本語ツアーが行われます。時間と集合場所などは観光庁のホームページ(www.visitbritain.or.jp)でご確認ください。

  

2月28日  パンケーキ・ディ (Shrove Tuesday)

キリスト教の暦で復活祭の前の日曜日を除く40日間は、レントといい断食をする習慣がありました。レントの始まるAsh Wednessdayの前日をShrove Tuesdayといい、その日に懺悔をして罪を許され、レントに挑む前に食べる最後のご馳走のデザートに、レントでは食べては行けないバターと卵をすべて使ってパンケーキを焼いたことから、Shrove Tuesdayにパンケーキを食べることになりました。この日ウエストミンスター・スクールとリンカーンズ・イン・フィールドではパンケーキレースが行われます。フライパンにパンケーキを入れて走り、途中3回パンケーキをひっくり返さなければならないというルールです。  

 

3月27日  オックスフォード対ケンブリッジのボートレース

春の訪れを告げる3月、オックスフォード大学とケンブリッジ大学の対抗ボートレースが開催されます。テームズ川のパトニー橋からモーとレークまで4.25マイル(6.8km)を競います。このレースの始まりは、1829年。同じパブリックスクールで学んだが、2つの大学に分かれて進学した友人が発案しました。 はじめはヘンリー・オン・テームズで、その後ウエストミンスターで行われましたが、混雑がひどかったため、現在の場所になりました。勝敗は今のところ、ほぼタイです。パットニーとモートレークの間のテームズ川沿いであれば、どこからでも観戦できますから、散歩がてらのんびり出かけてみてください。

 

4月16日  イースター

春の到来を告げるイースターを英国人は待ちわびています。北ヨーロッパの春の女神はイオストラといい、これがイースターの語源になりました。キリストが、十字架にかけられ、3日目によみがえったという復活祭は、この原始宗教のお祭りに加わったものです。春分の日を過ぎてから初めての満月の次の日曜日がエースターになると決めたのは、4世紀の二ケアの宗教会議でです。キリストが死からよみがえり、キリスト教の始まりとなった大切な日です。キリストが磔になったという金曜日(グッド・フライデー)には今でもホット・クロス・バン(十字のついた甘いパン)を食べます。イースター・エッグはキリストの再生を卵で現しています。その頃になるとチョコレートでできたイースターエッグが店に並びます。イースター・エッグはなぜかイースター・バニーがもってくると言われています。

 

6月10日 女王の公式誕生日

実際のエリザベス2世女王の誕生日は4月ですが、毎年6月第2土曜日に誕生日のパレードを行います。午前11時ごろバッキンガム宮殿からホースガーズに向かいますので、そのころにマル通り沿いで、馬車に乗った女王や、騎馬姿のチャールズ皇太子を見ることができます。

 

5月24-27日 チェルシー・フラワー・ショー

毎年5月にはチェルシー・ホスピタル敷地内でチェルシー・フラワー・ショーが催されます。ショーの期間中は園芸家はもちろんのこと、美しい花や木を見ようと人々が押し寄せます。 王室のメンバーが開会を宣言するのが慣例となっています。 会場には1.4haにおよぶ大テントが張られ、その中で専門的な情報の交換が行われます。 ショーは4日間に渡って行われ、1日目と2日目はメンバーの日ですが、3日目は朝8時から夜8時まで一般の人が入場できます。 また、4日目は入場料が前の日より安くなりますが、夕方5時に終わってしまいます。

 

6月23日-7月6日 ウインブルドン・テニス

ウインブルドン・テニス大会は毎年6月末から7月初めまでの2週間行なわれます。 1868年、The All England Lawn Tennis and Croquet Clubによって、テニスの世界規模のトーナメントを行なう目的で始められました。1877年、第1回ローン・テニス・チャンピオンシップが行なわれましたが、この大会では男子シングルスの試合のみでした。女子シングルスが始まったのは1884年で、わずか13選手の参加でした。 格式の高さを誇るウインブルドン・テニス大会は、出場選手の服装にもちゃんと規定があります。カーディガン、セーター、帽子を除いて選手の服装は白に統一されています。また、靴も必ずゴム底であることと決められており、鋲がついているものや、裸足は不可です。 大会中に使用されるボールの数は2600ダース(約31200個)。黄色いテニスボールが許可されるようになったのは1986年の大会からです。   会場全体でおよそ28000人の収容能力があります。主要な試合はセンターコートとNo.1コートで行なわれます。   通常チケットの申し込みは前年12月末に締め切られます。準決勝と決勝を除いた当日券はセンタコートが500枚、No.1、No.2のチケットも約500枚、屋外コート6000枚が売り出されます。大会中は当日券を求めて長い列ができます。 ウインブルドンといったらイチゴ&クリームが名物です。毎年イチゴ2トン、クリーム7000リットルが消費されるとか。是非お試しください。 当日券を買えなかった人は、丘の上のウインブルドン・ヴィレッジを歩いてみてください。この期間、有名選手たちは、ホテルに泊まらず、近所の家を一件借切っています。もしかしたら、有名選手にばったり出会うかもしれません。 

 

8月26日-28日  ノッティングヒル・カーニバル

カーニバル(謝肉祭)とは、イースターまでの40日間の肉類を断ち敬虔な祈りを捧げる禁欲期間が始まる前の数日間を肉を食べ、酒を飲み、踊るという開放的お祭りにしたことが起源といわれています。ノッティングヒル・カーニバルは1950年代に旧英国領西インド諸島から移民して来た人によって、1964年に正式に開催されました。毎年8月の最終日曜日(子供たちのパレード)とバンクホリデー(約85団体2万人のダンサーがパレード)に開催されます。ブラジルの有名なリオのカーニバルに告ぐ規模で、昨年は150万人が見物しました。カリビアン・フードやアクセサリーの露天が100以上出店され、45の音響ステージが設置されます。カーニバルはMas(コスチュームを着たダンサーの行列と山車)、Calypso(「バナナ・ボート」などのトリニダードの伝統的な音楽)、Soca(ソウルとカリプソをミックスしダンス性を増した音楽)、Steelpan(ドラム缶でできた楽器)、Static Sound System(いろいろな種類の音楽演奏)など、イベントが盛りだくさんです。

 

9月16日-17日  オープン・ハウス & テームズ・フェスティバル 

毎年9月の第3週末に、ロンドンで普段開放していない建物を無料で見られるという日があります。外務省、大蔵省、海軍省、陸軍省、英連邦本部やテレビ局など、「本当に入ってもいいの?」と思うような建物の内部に入れます。また、 同じ日にテームズ・フェスティバルがあり、川沿いに露天が出て、たくさんのイベントがあります。夜はパレードや花火もあり、一日中楽しめますよ。

 

10月31日  ハロウィーン

ハロウィーンはアメリカからの輸入行事のように思われがちですが、実の由来は古代ケルト民族の収穫祭から来ました。アイルランドやスコットランドに住んでいたケルト人が、10月31日に収穫祭を行っていた際、悪霊や魔女、妖怪などが街ちにやってきて作物や家畜にいたずらしないように、かがり火をたき、恐ろしい仮装をして街を行進するようになりました。さらに、キリスト教の万聖節(11月1日)の前夜にあたる10月31日は神聖な夜と言う意味の「Hallow E'en」と呼ばれるようになり、それが「Halloween 」になりました。かぼちゃの中身をくり抜いて、表面に恐ろしい顔を刻み、そのなかにそうそくをいれて家の前に置いておくと、悪い霊を追い払ってくれると信じられていました。10月はかぼちゃの最盛期ということもあり、アメリカに移住したアイルランド人たちが始めたみたいです。イギリスの子供たちは10月31日の夜、魔女やモンスターなどに仮装してご近所のドアをノックして回ります。そして「Trick or treat!」(お菓子をくれなければいたずらするぞ)と大きな声でお菓子をくれとせがむのです。この世にやってきた霊を食べ物などで手厚くもてなせば、騒ぎも起こさずにまたあの世へ戻ってくれるだろうということなのだそうです。子供たちが訪ねてきたら「Happy Halloween!」と言ってお菓子を渡してあげなければなりません。

 

11月5日   ガイ・フォークス・ナイト

英国では「花火は冬」なのです。11月になると各地で花火大会が開かれ、大勢の人が集まります。これは、1605年11月5日、国王と議会がガイ・フォークスらによる火薬陰謀事件を未然に防いだことを記念する行事です。 16世紀のイングランドでは宗教革命、英国国教会設立によりローマ・カトリックは勢力を弱めており、さらに弾圧が行われていたこともあり、信者の不満がつのっていました。1603年カトリックに寛容であったスコットランド王ジェームズ1世がイングランド国王に即位、信者の期待が高まったものの、それに反して弾圧は激しくなるばかりでした。1604年追い詰められたカトリック信者は、火薬陰謀事件を決意します。決行は1605年11月5日、議会開会宣言の瞬間に国会議事堂を爆破するという計画でした。ところが、事前にこのことを知らせる手紙がモンテーグル議員のもとに届き、11月4日に議事堂内の捜査が行われた結果、たいまつを手にしたガイ・フォークスらが逮捕されました。ガイ・フォークスを含む一味は残酷な拷問の後公開処刑場にて死刑となりました。火薬陰謀事件から400年後の今日では11月5日のガイ・フォークス・ナイトはお祭りのようなもの。火薬が花火に姿を変え、ジェームス1世が命をとりとめ無事謀反が取り押さえられたことをお祝いする行事となっています。

 

11月11日 リメンバランス・ディー

11月11日は第一次世界大戦の終戦記念日です。この日は英国だけでなく、ヨーロッパ各地で、戦没者を忍ぶための行事が行われます。英国では11時にホワイトホールにある戦没者記念碑に、エリザベス女王やブレア首相など要人が集まり、戦没者の象徴であるケシの花の花輪をささげます。

 

11月18日 ロード・メイヤーズ・ショー

毎年選ばれるロンドン市長が、金色の馬車に乗りシティを行進します。昔、王はロンドン市民に市長を選ぶ権利を与えましたが、市長は王に謁見して認証を得なければなりませんでした。しかし王は国のあちこちを回っていることが多く、謁見が難しかったので、代わりにウエストミンスター宮殿の裁判官の認証を得ればいいことになり、現在の最高裁判所への行進が始まりました。コースは午前11時マンションハウス(市長官邸)出発、11時25分セントポール大聖堂にて礼拝、11時40分最高裁判所到着、帰りは別ルートで官邸まで帰ります。 

 

11月25日 ベテラン・カー・ラン

1905年以前に作られたアンティーク・カーが集まって、ブライトンまで約92kmを平均速度32kmで走ります。1896年から毎年行われていて、朝8時から9時の間にハイドパークを出発、ウエストミンスター橋を通ってA23へ出ます。  

 

12月25日 クリスマス

英国ではクリスマスは静かに家族で祝います。遠くに住む家族が集まったり、贈り物をしたり、食事をしたりして過ごします。クリスマスは、キリスト(Christ)のミサ(mass)を意味します。イエス・キリストの誕生日と、収穫に感謝し太陽の復活を祈る冬至祭りと結びあわせて行われるようになったといわれています。 サンタクロースのモデルは4世紀のトルコ人聖ニコラス司教で、彼は生涯を不幸な人々の救済に捧げたと言われています。サンタの言い伝えには靴下が登場しますが、これは貧しい家の暖炉に干されていた靴下にこっそり金貨の袋を投げ入れたという聖ニコラスの善行が元になっているそうです。サンタの服を赤くしたのはコカコーラだと言われています。1930年コカコーラは、ふくよかでやさしげな赤い服を着て白いひげを持ったサンタのイラストを広告に使用し、全世界に進出しました。サンタの移動手段として登場するトナカイは、1882年にアメリカの神学者クレメント・クラーク・ムーアが書いた詩「真っ赤なお鼻のトナカイさんがー」が元になっています。赤鼻のトナカイのルドルフの詩が登場する前は、サンタの移動手段は徒歩か馬だったそうです。

  

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